古い建物に使われている“赤い”煉瓦の補修・再生
欠損や劣化部分へのオーダーメイド煉瓦の提供
釉薬(うわぐすり)を使った煉瓦やタイルの製作・補修
レンガの施工・工事そのもの
写真だけでの完全な色、質感の再現
その他の建材・特殊素材の補修
明治時代に建てられた煉瓦建築は、日本の近代化の象徴として、文化的・歴史的な価値がとても高いものです。その価値をしっかりと次世代へと受け継ぐためには、時間の経過で損傷した部分を違和感なく補修し、建物全体の美しさや雰囲気を残すことが大切です。
明治期の煉瓦は、現代のように鉱物などを人工的に混ぜて色を調整したものは少なく、ほとんどが天然の粘土を使って製造されています。とはいえ、「原料が同じ=同じ色」になるわけではありません。実は焼成時の温度や焼き方の違いによって、赤色の濃淡が大きく変化するのです。
このように微妙な色合いの違いを再現するためには、複数の「温度別色サンプル」を用いて、実際の既存煉瓦との比較・調査が欠かせません。
昔の煉瓦を割ってみると、外側は赤みが強いのに、中はオレンジ色になっている例が多々あります。これは、焼成時間が比較的短かったり、窯の構造や火の回り具合によって温度差が生じたりしたことが一因と考えられます。
補修時は、外の赤みだけで判断すると実際とは違う色になりやすいため、オレンジ色が出ていない箇所から色合わせの箇所と定め、「濃・中・淡」の割合を考慮したうえで、最適な焼成条件を模索します。こうして「建築当初と違和感のない色味」を目指すのです。
現代のレンガは、成形技術の向上や表面加工によって、比較的フラットで平滑な仕上がりが多く見られます。しかし、明治時代の煉瓦は、表面にザラザラとした風合いが残っているのが大きな特徴です。これは製造方法の違いによるもので、当時は木枠に粘土を押し込んで成形し、粘土を型から抜き出しやすくするために砂を使っていました。砂をまぶしていたことで、表面には細かな砂粒が残り、自然な凹凸やムラが生まれたのです。このザラザラした手ざわりこそが、明治期の煉瓦特有の味わいであり、補修の際にもできる限りその風合いを再現することが重要です。
これらが味わい深さを生み出し、建物全体に独特の趣きを与えています。そこで補修の際にも、わざと表面をフラットにしすぎず、凹凸を適度に残す工夫を行い、“そこにずっとあった”ような仕上がりを目指しています。
明治時代の煉瓦建築を補修するとき、何より重要なのは「文化財としての歴史的価値」を損なわず、建物の雰囲気と自然になじませることです。
これらを丁寧に進めることで、オリジナル部分と補修部分の境界がわかりにくく、かつ建物全体の持つ歴史的価値を守りながら、美観を維持することができます。当社では、明治時代のレンガ建築の補修に関して特別なノウハウを活かし、違和感のない仕上がりにこだわっています。今後も多くの方々と協力しながら、貴重な建物を未来へつないでいきたいと考えています。