2026.09.01
同じレンガでも、45°で景色は変わる。
網代張りに見る、「ひと手間」の意味
レンガ舗装の敷き方には、さまざまなパターンがあります。その中でも人気が高いのが、レンガを直角に組み合わせながら連続させていく「網代張り」です。網代張りをするとき、もう一つ考えることがあります。道路や建物に対して、そのまま直線・直角に敷くのか。それとも、全体を45°傾けて敷くのか。同じレンガ、同じ網代張りです。違うのは、向きだけです。ところが実際に施工された場所を歩いてみると、その「向き」が想像以上に景観の印象を変えることに気づきました。

正直、45°にする意味をあまり感じていませんでした
建物の壁であれば、上下左右がはっきりしています。そのため模様を斜めにすれば、誰が見ても「斜めにデザインされている」と認識できます。一方、舗装は床です。見る人自身が歩き、向きを変えます。斜めに敷いてあっても、自分が少し向きを変えれば、レンガはまっすぐに見える。そのため私は以前、
「施工の手間まで考えると、舗装をわざわざ45°傾ける意味は、それほど大きくないのではないか」
と思っていました。実際の施工現場を見るまでは。
歩いて初めて分かった、45°の良さ
新橋に施工されたマンガン焼過のレンガ舗装です。網代張りを、道路に対して45°傾けて施工しています。

実際にその道をまっすぐ歩いてみると、印象がまったく違いました。視界の中に入ってくるレンガの線が、進行方向に対して斜めに連続していきます。網代張りの細かなリズムが強調され、舗装全体に動きが生まれる。そして、視線が自然と奥へ奥へと導かれていきます。写真で一部分を見るだけでは、ここまで感じなかったかもしれません。歩いてみて初めて、「これは45°にする意味がある」と思いました。
同じレンガを、傾けただけ。
使っているレンガが変わったわけではありません。色を増やしたわけでもありません。特殊な形のレンガを使ったわけでもありません。同じレンガを、45°傾けただけ。言ってしまえば、それだけです。でも、見た目は驚くほど変わります。もちろん45°に振れば、端部の納まりや切り物など、施工にはひと手間が増えます。だからこそ、その手間には意味があるのだと思います。
「こだわり」は、説明されなくても伝わる
レンガの色にこだわる。形にこだわる。焼き方にこだわる。目地にこだわる。私たちメーカーや設計者、施工者には、それぞれたくさんの「こだわり」があります。ただ、その一つひとつを、そこを歩く人が知っているわけではありません。「このレンガはこの温度で焼かれている」「この色を出すためにこんな工夫をしている」そう説明されなければ分からないこともたくさんあります。でも、45°傾けた網代張りを歩いたときに感じる、
「なんだか、この道はいい。」
という感覚には、説明はいりません。施工した人の名前を知らなくても、設計意図を知らなくても、レンガに詳しくなくても感じられる。こうした直感的に伝わる良さも、景観づくりではとても大切なのだと思います。
ひと手間は、景色に残る
レンガ舗装は、レンガを選んだら終わりではありません。同じレンガでも、どう並べるか。どちらを向けるか。どんな目地にするか。それだけで表情は変わります。今回の45°の網代張りを見て、私自身も改めてそのことを教えられました。効率だけを考えれば、必要のないひと手間かもしれません。けれど、そのひと手間が、何十年と残る景観の印象を変えることがあります。
同じレンガでも、45°で景色は変わる。
レンガは、製品そのものだけではなく、「どう使うか」まで含めて面白い素材なのだと思います。これからも岡田煉瓦では、レンガそのものの魅力だけでなく、こうした敷き方や使い方の面白さもお伝えしていきたいと思います。





