OKADA BRICK 岡田煉瓦製造所

Column

コラム

「謹製」という言葉に込めて

受け継がれる、
 ものづくりの姿勢

2026.09.29

土間は、もっと自由に。

― 岡田家の古い玄関から考える、レンガの使い方 ―

今は、SNSやPinterestを開けば、素敵な住宅や店舗の写真をいくらでも見ることができます。とても便利で、私自身も空間づくりの参考にすることがあります。その一方で、たくさんの人が同じような写真を見るようになったことで、どこか似た雰囲気の空間も増えてきたように感じます。だから今回は、少し違った刺激になるようなレンガの使い方をご紹介します。といっても、最新の建築事例ではありません。岡田家の祖父母が暮らしていた古い家の玄関です。

現在はもう使われていない建物で、いつか取り壊される日が来るかもしれません。その前に、この少し変わった「土間」を残しておきたいと思いました。

余ったレンガでつくられた玄関

この玄関の床には、レンガが使われています。よく見ると、同じレンガを規則正しく並べたものではありません。大きさや形の違うレンガを組み合わせ、小石も使いながら、中央には模様がつくられています。当時、余ったレンガを組み合わせてつくられた玄関だと聞いています。今の感覚で考えれば、あらかじめ図面を描き、同じ寸法・同じ色の材料を揃えて施工したくなるところです。でも、この土間は少し違います。

「あるものを使って、面白くつくる。」

そんな自由さを感じます。

木とレンガは、やっぱり合う

改めて写真を見ると、古い木造住宅とレンガの相性の良さにも気づきます。長い時間を経た木の柱や建具。少し色の違うレンガ。石。どれも均一ではありません。それなのに、一緒になると不思議と馴染んでいます。新しかった頃とは、きっと色も表情も違うはずです。木は時間とともに色が変わり、レンガも使われる中で汚れたり、擦れたりする。それでも、それぞれの素材が古くなりながら、一つの空間になっています。経年変化する素材同士だからこそ、相性がいいのかもしれません。

土間は、「外」と「中」の間

以前のコラムでも、レンガを室内の床に使うことについて考えました。一般的な居室では、レンガの凹凸や目地は使いにくさにつながることがあります。でも、土間なら話は変わります。靴のまま歩く。多少の凹凸があってもいい。少しくらい汚れても、それが味になる。外から入ってきて、室内へ上がるまでの中間にある場所。

OUTSIDE | DOMA | INSIDE
外   | 土間  | 中

この「DOMA」という場所だからこそ、もっと素材で遊んでもいいのではないでしょうか。

きれいに揃えなくてもいい

レンガを使うとなると、同じ色を揃える。同じサイズを揃える。きれいなパターンで並べる。そんなことを考えます。もちろん、それもレンガの美しさです。でも、この古い土間を見ていると、そんなにきれいに揃えなくてもいい。と思えてきます。余ったレンガがあれば使う。違う形があれば組み合わせる。色が違っても混ぜてみる。石を入れてもいい。並べ方を途中で変えてもいい。レンガは工業製品ですが、もともとは土を焼いたものです。少しくらい不揃いでも、木や石、植物と一緒になると、それがかえって自然に見えることがあります。

レンガは、もっと自由に。

SNSでたくさんの施工事例を見ることができる時代だからこそ、「正解」を探しすぎなくてもいいのかもしれません。この色には、この目地。このレンガには、この張り方。玄関なら、こうする。店舗なら、こうする。もちろん基本は大切です。でも、そこから少し外れてみると、その人、その家、その場所にしかない空間が生まれます。今回ご紹介した土間も、決して豪華なものではありません。余ったレンガを使い、木造住宅の玄関につくられた、小さな土間です。それでも、何十年も経った今、私にはとても魅力的に見えます。そして、レンガをつくる仕事をしている今だからこそ、改めて思います。

レンガは、もっと自由に使っていい。

新しい材料や新しいデザインだけではなく、昔の家に残されたこんな使い方から、新しいアイデアが生まれることもあるのではないでしょうか。いつかこの建物がなくなっても、この土間の写真と、そこから感じたことは残しておきたい。岡田家に残る古い玄関から、今回はそんなレンガの使い方をご紹介しました。

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