2026.10.28
手土産にも、ちょっとした物語がある。
― 私のイチオシは「かりんとう饅頭」。―
今回は、ちょっと息抜きです。普段はレンガのことばかり書いていますが、たまには私の好きなお店をご紹介したいと思います。今回ご紹介するのは、地元・安城市にある和菓子屋さん「北城屋」さん。私が約20年前から通っている、大好きなお店です。仕事から少し離れた話……と言いたいところですが、実は仕事関係の方への手土産にもよく利用しています。そう考えると、仕事とまったく無関係というわけでもありませんね。

出会いは、約20年前
当時、私は自動車関係の仕事をしていました。仲の良い同期が誕生日を迎えることになり、何かプレゼントを渡したいと思いました。とはいえ、あまり立派なものを渡しても、相手に気を使わせてしまいます。かといって、何もないのも寂しい。
ちょっと笑えて、気軽に受け取ってもらえるものがいい。
男同士のプレゼントなんて、案外そんなものかもしれません。そんなとき、雑誌で見つけたのが「べっぴんじゃん」。確か、旅行情報誌の『じゃらん』だったと思います。通称、「おっぱい饅頭」。誕生日プレゼントとしては、なかなか絶妙な商品です。高価なものでもなく、かしこまったものでもない。でも、きっと笑ってもらえる。そんな期待を込めて、北城屋さんへ買いに行きました。しかも、お店は母校である安城高校のすぐ近く。こんなところに、こんな面白いお菓子屋さんがあったのか。それが、北城屋さんとの最初の出会いでした。まさか、それから約20年も通うお店になるとは、当時は思ってもいませんでした。

手土産には「安城一番」
面白い商品に惹かれて訪れた北城屋さんですが、もちろん、それだけのお店ではありません。そこで出会ったのが「安城一番」です。安城という地名が、そのまま商品名になった最中です。私は安城が好きなので、こういう商品を見ると嬉しくなります。特に、県外の方への手土産にはぴったりです。仕事で県外の方を訪ねるときにも、地元・安城のお菓子ということで、ちょっとした話のきっかけになります。お菓子そのもののおいしさに加えて、地元を紹介できる。手土産として、とてもありがたい存在です。
でも、実は私が一番食べてほしいのは、別のお菓子なんです。
本当に食べてほしいのは「かりんとう饅頭」
それが「かりんとう饅頭」です。北城屋さんでは「黒たまかりんとう」という名前で販売されています。これは本当におすすめです。外側はカリッと香ばしく、中の餡は甘さがちょうどいい。このバランスが、たまりません。特別な日の贈り物というよりも、普段のおやつとして食べたくなるお菓子です。
「今日はかりんとう饅頭が食べたいな」
そんな気持ちで、つい買いに行ってしまいます。約20年前、面白いお饅頭に惹かれて訪れたお店に、今ではかりんとう饅頭を買いに通っている。何だか面白いものです。

日持ちしない手土産
この「黒たまかりんとう」。一つ、悩ましいことがあります。それは、日持ちが3日間と、とても短いこと。手土産として考えると、日持ちする方が便利です。相手がいつ食べるか分からないので、特に仕事関係の手土産では気になります。でも、私が一番食べてほしいのは、このかりんとう饅頭。そもそも賞味期限とは、適切に保存した未開封の食品を、おいしく食べられる目安となる期限です。かりんとう饅頭のおいしさといえば、何といっても外側のカリカリした食感。時間が経つと、どうしてもその食感は失われていきます。もしかすると、このカリカリしたおいしさを大切にして、日持ちを短く設定しているのかもしれません。もちろん、本当の理由はお店の方に聞いてみなければ分かりません。でも、そう考えると、短い日持ちにも意味があるように感じます。日持ちする方が、売る側にとっても、買う側にとっても便利なはずです。それでも、一番おいしい状態で食べてもらうことを大切にする。
便利さよりも、おいしさを優先する。
もし、そんな考え方でつくられているのだとしたら、ものづくりをする立場としても共感します。商品にとって何が一番大切なのか。それを考えることは、私たちの仕事にも通じるような気がします。

商売の上手さを感じるお店
北城屋さんを見ていて、もう一つ感心することがあります。それは、商品の役割がとてもよくできていると感じることです。
知るきっかけに「べっぴんじゃん」。手土産に「安城一番」。日常のおやつに「かりんとう饅頭」。
もちろん、北城屋さんが最初からこのような販売戦略を考えていたのかは分かりません。でも、私自身がまさに、この流れでお店のファンになりました。面白い商品に惹かれてお店を知る。地元らしい商品を手土産に選ぶ。そして、最後は自分が食べたくて通うようになる。
知ってもらうことと、何度も買ってもらうことは、違う。
商売をするうえで、どちらも大切なことだと思います。しかも、私の場合は約20年。一人のお客さんをこれだけ長く惹きつけているのですから、すごいことです。ものづくりをしている私にとっても、勉強になるお店です。
包装紙まで素敵なんです
北城屋さんには、もう一つ好きなところがあります。それは、包装紙や箱のデザインです。紙の質感がよく、デザインも秀逸。無駄な装飾がなく、落ち着いた雰囲気があります。お菓子がおいしいのはもちろんですが、手土産として持っていくときには、包装も大切な要素だと思います。派手に飾り立てなくても、きちんとしたものは伝わる。そんなことを感じさせてくれます。私たちもレンガという製品をつくっていますが、よいものをつくるだけでなく、その魅力をどう伝えるかは、いつも考えていることです。北城屋さんを訪れると、お菓子を買いながら、ついそんなことまで考えてしまいます。

手土産にも、ちょっとした物語がある。
振り返ると、北城屋さんとの出会いは約20年前。仲の良い同期を笑わせたくて、ちょっと変わった誕生日プレゼントを探したことがきっかけでした。それが今では、仕事でお世話になっている方への手土産を買いに行ったり、自分のおやつを買いに行ったり。気づけば、長いお付き合いになりました。手土産というのは、ただ物を渡すだけではないのかもしれません。相手に喜んでもらいたい。地元のよいものを知ってもらいたい。おいしいものを食べてもらいたい。そんな気持ちがあって、商品を選んでいるのだと思います。今回は息抜きのつもりで書き始めたのですが、結局、少し仕事の話になってしまいました。これからもレンガの話を中心にしながら、ときどき、こんな話も書いてみたいと思います。北城屋さんをご存じない方は、ぜひ一度立ち寄ってみてください。手土産には「安城一番」。でも、私が一番食べてほしいのは、やっぱり「かりんとう饅頭」です。
できれば、あのカリカリがおいしいうちに。
おまけ。レンガにも「アンコ」があります。
最後に、少しだけレンガの話を。実は、レンガにも「アンコ模様」と呼ばれるものがあります。レンガを重ねて焼くことで生まれる、独特の焼き色の模様です。和菓子屋さんのコラムを書いていたら、何だか紹介したくなってしまいました。結局、最後はレンガの話になってしまいましたね(笑)。






