OKADA BRICK 岡田煉瓦製造所

Column

コラム

「謹製」という言葉に込めて

受け継がれる、
 ものづくりの姿勢

2026.10.30

車道にレンガを敷いても大丈夫?

「車が通る場所に、レンガを敷いても大丈夫ですか?」

設計者の方から、そんな疑問を持たれることがあります。確かに、近年では車道にレンガを採用した現場を、私自身あまり記憶していません。歩道や広場、住宅のアプローチなどでは使われていても、車道となると話は別です。車が通る場所ですから、設計する側が慎重になるのも当然だと思います。今回は、岡田煉瓦の過去の施工実績を通して、車道でのレンガ舗装についてお話ししたいと思います。

「理解」と「納得」は違う

今回、私が一番お伝えしたいのは、「理解」と「納得」は違うということです。例えば、私が設計者の方に、

「レンガは丈夫な材料です。車道にも使用できます」

と説明したとします。材料の強度や性能を説明すれば、理屈としては理解していただけるかもしれません。でも、それだけで不安がなくなるでしょうか。

「なるほど、理屈は分かりました。でも、実際に車道で使われているんですか?」

そんな疑問が残るのではないかと思います。設計者の方にとって、材料を採用するということは、その先の安全性や耐久性にも責任を持つということです。だからこそ、説明を聞いて「理解できる」ことと、実際に採用してもよいと「納得できる」ことは、必ずしも同じではありません。

頭では理解できても、不安が拭いきれないことがある。

私は、そう思っています。

岡田煉瓦には、車道での実績があります

岡田煉瓦製造所は、1897年(明治30年)創業のレンガメーカーです。長くレンガを製造してきたからこそ、今ではあまり見かけなくなった用途での実績も残っています。今回ご紹介するのは、1989年の「オズモール」と、1993年の「横浜ポートサイド」です。

1989年 オズモール(愛知県名古屋市)

オズモールは、私が知っている中で、最も古い車道でのレンガ施工実績です。1989年(平成元年)に整備された、名古屋市大曽根の商店街です。写真に写っている大きなモニュメントには、「1989」の文字が刻まれています。岡田煉瓦のレンガが使われてから、約37年。長い年月が経過しています。もちろん、これより古い実績がないという意味ではありません。あくまで、私が把握している中で最も古い事例です。このような古い施工実績が残っていることは、メーカーとして、とてもありがたいことだと思います。

▶ Googleストリートビューでオズモールを見る

1993年 横浜ポートサイド(神奈川県横浜市)

こちらは1993年(平成5年)の施工実績です。写真では、車が通る道路部分にレンガが敷かれている様子が分かります。車道と歩道でレンガの色合いや敷き方が異なり、街並みのデザインにも取り入れられています。施工から約33年。こちらも、長い年月を経たレンガ舗装の事例です。

▶ Googleストリートビューで横浜ポートサイドを見る

今回ご紹介した2つの現場は、いずれも岡田煉瓦のレンガが車道に採用された実績です。そして、私が見ていただきたいのは、単に「昔、採用されました」という記録だけではありません。長い年月を経たレンガ舗装が、街の中でどのような姿をしているのか。ぜひ、ストリートビューでも確認していただきたいと思います。なお、ストリートビューは撮影時点の記録です。写真だけで補修履歴や舗装の内部構造まで確認できるわけではありません。それでも、実際の現場を見ていただくことには、言葉や数値だけでは伝えきれない説得力があると思います。

過去の実績が、納得につながる

材料を選ぶとき、性能試験の数値は大切です。でも、設計する立場になって考えてみると、それだけでは十分でないこともあると思います。

「実際に使われたことがあるのか」

「何年くらい使われているのか」

「今はどうなっているのか」

こうした情報があって、初めて安心できることもあるのではないでしょうか。特に車道のように、歩道以上の負荷がかかる場所では、なおさらです。岡田煉瓦には、長年レンガをつくり続けてきた歴史があります。そして、その歴史の中には、実際に使われてきた製品の記録があります。

古い実績は、単なる昔話ではありません。

今、新しくレンガを採用しようとする方にとって、判断材料の一つになるものだと思っています。

レンガは丈夫。でも、施工がとても大切

ここで、もう一つお伝えしたいことがあります。それは、レンガが丈夫だからといって、どんな施工でも大丈夫というわけではないことです。私は、車道のレンガ舗装を考えるうえで、施工方法がとても重要だと思っています。レンガそのものが十分な強度を持っていても、下地や路盤、目地、端部の納まりなどが適切でなければ、舗装として問題が生じる可能性があります。特に車道では、車両の荷重や繰り返しの走行、ブレーキ、旋回など、歩道とは異なる条件を考えなければなりません。つまり、レンガの強度だけで舗装全体の耐久性が決まるわけではないのです。

レンガという材料の性能と、舗装として成立させるための施工設計。

この2つは、分けて考える必要があります。私としては、まずレンガという材料について安心していただきたい。そして、そのうえで、どのような施工方法が適切なのかを、しっかり考えていただきたいと思っています。

車道にレンガを使ってほしい、という話ではありません

今回、車道での施工実績をご紹介しましたが、決して「車道にはレンガを使ってください!」と言いたいわけではありません。舗装材には、それぞれの特徴があります。アスファルトが適している場所もあれば、コンクリートやインターロッキングブロックが適している場所もあります。当然、レンガが適していない条件もあるでしょう。大切なのは、材料の特徴を正しく理解したうえで、その場所にふさわしい舗装材を選ぶことだと思います。ただ、車道だからという理由だけで、最初からレンガを選択肢から外してしまうのは、少しもったいない気もします。レンガには、独特の風合いや色幅があります。長い年月を経た街並みにもなじみ、建築や景観に個性を与えることができます。その魅力を活かせる場所があるなら、選択肢の一つとして考えていただけたら嬉しいです。

「理解」の先にある「納得」

私たちメーカーは、どうしても製品の性能を説明しがちです。強度はどれくらいか。吸水率はどれくらいか。どんな規格に適合しているか。もちろん、どれも大切な情報です。でも、設計者の方が本当に知りたいのは、数値そのものだけではないのかもしれません。

「この材料を採用して、本当に大丈夫だろうか」

その不安に対して、メーカーとして何をお伝えできるのか。今回ご紹介した1989年と1993年の車道での実績は、岡田煉瓦からお伝えできる、一つの答えです。レンガの性能を知っていただくことが「理解」だとすれば、実際に使われてきた姿を見ていただくことは「納得」につながるのではないでしょうか。そして、材料について納得していただいた先に、適切な施工方法を考えるという大切な仕事があります。

レンガについては、安心していただきたい。

そのうえで、施工について、しっかり考えていただきたい。

それが、レンガをつくり続けてきたメーカーとして、今回お伝えしたいことです。

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