OKADA BRICK 岡田煉瓦製造所

Column

コラム

「謹製」という言葉に込めて

受け継がれる、
 ものづくりの姿勢

2026.11.05

岡田煉瓦に必要なモノ。

― 100の物語を積み上げて、その先へ ―

今回のコラムで、100件目を迎えました。私にとって、100件のコラムを書くことは、一つの挑戦でした。しかし、100件を書いたことで、何かが見えてきたわけではありません。私には、以前から見えていたものがあります。それは、岡田煉瓦に足りないもの。そして、これから必要になるもの。その想いをカタチにするために、100件のコラムを書いてきました。今回は、節目となる100件目として、私自身の考えと、これからの岡田煉瓦についてお話ししたいと思います。

レンガとは何か。

岡田煉瓦製造所は、1897年創業のレンガメーカーです。私たちは長年、さまざまな形状や色のレンガを製造してきました。私が入社した頃、新しい商品を考えるときには、形状にこだわり、色にこだわり、他にはないものを作ろうとしていました。もちろん、それも大切なことです。しかし、そもそも「レンガとは何か」と聞かれたら、どう答えるでしょうか。私が考えるレンガの原点は、三つあります。

「天然の粘土」を原料とすること。

窯で焼き上げた「焼き物」であること。

そして、「直方体」であること。

この三つが合わさって、私たちが大切にしているレンガの姿になります。もちろん、世の中にはさまざまな素材や形状のレンガがあります。それでも、私たちが長年作り続けてきたレンガにとって、この三つは大切な要素です。なかでも、直方体という形状は、レンガのアイデンティティだと思います。私が入社した頃は、その意味がよく分かっていませんでした。角を丸めたり、形を変えたりすることで、新しい価値を生み出せると思っていたからです。しかし、設計者のなかには、角を丸めたレンガではなく、きちんと「角」のあるレンガを好まれる方がいます。今なら、その理由が少し分かる気がします。レンガは、一つひとつは単純な直方体です。しかし、それを並べ、積み上げることで、さまざまな表情や空間が生まれます。形が単純だからこそ、組み合わせることで多くの可能性が広がる。

変わらない形のなかにこそ、レンガの価値がある。

新しいものを追い求めるだけでなく、レンガが本来持っている魅力を大切にしたいと思うようになりました。

岡田煉瓦に足りなかったもの。

では、岡田煉瓦という会社に足りないものは何でしょうか。その答えが明確になった出来事があります。ホームセンター向けに出荷していたレンガが、中国産のレンガに切り替わったことです。それまで私たちは、ホームセンターという販売先に依存していました。自分たちで作ったレンガなのに、自分たちの力でお客様に届ける仕組みが十分にできていなかったのです。つまり、メーカーとして「自立」できていませんでした。良いものを作れば売れる。品質を守り、真面目に製造していれば、誰かが評価してくれる。そんな考えが、どこかにあったのだと思います。しかし、良いものを作ることと、その価値が伝わることは、別の話です。どれだけ良い商品を作っても、知られなければ選んでもらえません。そこで気づいたのです。

岡田煉瓦に足りないものは、「伝えること」だと。

私たちは職人の集まりです。技術は「見て覚える」ことが当たり前で、自分たちの仕事を言葉にして説明することが得意ではありません。作ることには一生懸命でも、その魅力を伝えることは苦手でした。しかし、私はそこに大きな可能性を感じました。

苦手なことこそ、私たちの伸びしろなのではないか。

一人ひとりが、キラリと光る会社へ。

私たちが目指しているのは、一人ひとりがキラリと光り、活躍する組織です。私たちは決して器用な集団ではありません。一人で何でもできるわけでもありません。しかし、それぞれに得意なことがあります。成形が得意な人。焼成に詳しい人。機械を扱うことが得意な人。品質を見極める人。一つひとつの仕事を丁寧に積み上げる人。それぞれが何かのスペシャリストであり、会社を支える大切な存在です。では、私はどこでキラリと光り、会社に貢献できるのでしょうか。私自身も、すべての仕事ができるわけではありません。だからこそ、自分の役割を考えました。私が目指すのは、岡田煉瓦の広告塔であり、語り部になること。自分自身が前に出て、会社のこと、レンガのこと、社員のことを伝える。そして、社員一人ひとりの魅力や技術にスポットを当てる。誰かが考えた商品や、現場で生まれた工夫を、世の中に届ける。それが、私の役割なのだと考えています。

写真キャプション:レンガの魅力と、ものづくりに携わる人たちの想いを、自分の言葉で伝えていきたい。

100件のコラムは、岡田煉瓦の土台づくり。

私は、コラムを書くにあたって、まず50件、そして100件という目標を立てました。これは、単に文章を書くことが目的ではありません。岡田煉瓦の情報を、世の中に蓄積していくためです。レンガの種類、寸法、色、施工方法、製造工程、歴史、私たちの考え方。お客様が疑問に思うことを、できるだけ漏れなく言葉にして残していく。そのために、私は「量」を意識しました。もちろん、内容の正確さや分かりやすさも大切です。しかし、どれだけ良い情報でも、発信しなければ存在しないのと同じです。検索エンジンへの対策だけでなく、AIによる情報検索も意識しました。これからは、人が検索するだけでなく、AIが必要な情報を探し、整理して届ける時代になっていくと思います。そのときに、岡田煉瓦の考えや技術が、必要な情報として見つけてもらえるようにしたい。そのためには、まず情報が存在していなければなりません。100件のコラムは、そのための土台づくりです。すぐに成果が出るものばかりではありません。しかし、書いたものは残ります。一つひとつは小さくても、積み上げることで大きな財産になる。それは、レンガと同じなのかもしれません。

文字で情報を、動画で熱を伝える。

100件のコラムを積み上げてきたのは、岡田煉瓦の情報を世の中に残すためです。必要なときに検索すれば、必要な情報が見つかる。そんな土台を作りたいと考えてきました。しかし、文字だけでは伝えきれないものがあります。

それは、ものづくりに対する「熱」です。

職人が真剣に仕事に向き合う姿。工場で動く機械の迫力。窯から焼き上がったレンガが出てくる瞬間。そして、自分たちが作った商品を語るときの表情や声。こうしたものは、文章で説明するよりも、実際に見てもらう方が伝わると思っています。文字で伝わるものを「1」としたら、動画では「100」伝わるのではないか。そう感じるほど、映像には大きな力があると思っています。もちろん、文字には文字の役割があります。正確な情報を整理し、必要なときに調べられるようにする。一方、動画には、人の想いや情熱、現場の空気まで届ける力があります。

文字は、知ってもらうために。

動画は、感じてもらうために。

この二つを組み合わせることで、岡田煉瓦の魅力をもっと深く伝えられると考えています。

写真キャプション:文字では伝えきれない、ものづくりの現場の熱を届けるために。

これまでは、社員が「これはいいものができた」と思っても、その価値が十分に伝わらず、世の中に知られないまま終わってしまうことがありました。それは、とてももったいないことです。私たちの経営理念は、

「想いをカタチにして積み上げる」

社員が考えたもの。良いと思ったもの。挑戦してみたいと思ったもの。その想いをカタチにするだけでなく、その背景にある熱まで世の中へ届けたい。コラムと動画は、そのための大切な道具です。そして私は、その想いを伝える語り部でありたいと思っています。

伝えることで、新しい可能性が生まれる。

2027年、岡田煉瓦製造所は創業130周年を迎えます。この節目に、新しい取り組みも進めています。その一つが、工場直売の「BRICK YARD SHOP(ブリックヤードショップ)」です。レンガをもっと身近に感じてもらう。実際に手に取り、色や質感を確かめてもらう。そして、レンガを使ったものづくりを楽しんでもらう。メーカーとお客様が直接つながる、新しい接点にしていきたいと考えています。また、私たちが特に力を入れている舗装用レンガ「251」についても、もっと多くの方に知っていただきたいと思っています。なぜ、この形状なのか。なぜ、この色なのか。どのような設備で、どのような想いを込めて作っているのか。商品だけを見せるのではなく、その背景にある物語も伝えていきたいのです。そして、もう一つ。

私たちは、さまざまな企業とコラボレーションがしたい。

レンガメーカーだけでは、できることに限界があります。しかし、異なる技術や発想を持つ企業とつながれば、今までにない価値が生まれるかもしれません。設計、デザイン、建築、ものづくり、教育、地域活動。レンガには、まだまだ多くの可能性があると思っています。その可能性を広げるためにも、まずは私たち自身を知ってもらうこと。発信することが、新しい出会いや事業のきっかけになると考えています。

100の物語から、200、400、そして1000の物語へ。

今回、100件目のコラムを迎えました。ここまで書いてきた100の物語は、私たちの技術や考え方、取り組みを言葉にして残したものです。しかし、これから目指す200、400、1000の物語は、単にコラムの件数を増やすという意味ではありません。

人と人が出会い、想いがつながり、新しい価値が生まれる。そんな一人ひとりの人生の物語です。

社員が自分の得意なことで活躍する物語。お客様がレンガを使って理想の空間を作る物語。企業同士が協力して、新しい商品を生み出す物語。子どもたちがレンガに触れ、ものづくりの楽しさを知る物語。地域の人たちが集まり、笑顔が生まれる物語。その一つひとつに、岡田煉瓦が関わることができたら。そして、その物語が全国へと広がっていったら。これほど嬉しいことはありません。私たちは、レンガを作る会社です。しかし、レンガを作ることだけが、私たちの存在意義ではないと思っています。レンガを通じて人とつながり、新しい価値を生み出す。そんな物語が生まれるきっかけを作れる会社になりたいと思っています。

イラストキャプション:岡田煉瓦を中心に、人と人がつながり、それぞれの物語が生まれていく。私たちが目指す未来のイメージです。

岡田煉瓦に必要なモノ。

100件目のコラムを書くにあたり、改めて考えました。岡田煉瓦に必要なものは何か。それは、特別な商品でも、最新の設備でもありません。もちろん、それらも大切です。しかし、私たちが持っている技術や想いを、世の中に伝えること。そして、それをきっかけに、人と人がつながること。

私たちに必要なのは、「伝える力」です。

私は、岡田煉瓦の中で、その役割を担いたいと思っています。一人ひとりがキラリと光る会社。その輝きにスポットを当て、世の中へ届ける存在になる。私自身も、自分の得意なことで光り輝き、会社の発展に貢献していきたいと思います。100件のコラムは、ゴールではありません。これから始まる、たくさんの物語のための土台です。

経営理念

「想いをカタチにして積み上げる」

ビジョン

「日本全国に響き渡る“物語”をつむぐ煉瓦メーカーへ」

これからも、一つひとつの想いを大切に、積み上げていきます。

株式会社岡田煉瓦製造所
代表取締役 岡田信一

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