2026.05.19
「焼く」ということ。中東情勢と煉瓦づくり

「煉瓦は重油で出来ている。」
会長の岡田は、よくそんな表現をします。もちろん実際にレンガそのものが重油で出来ているわけではありません。それほどまでに、煉瓦製造において“焼成”に使う重油の存在が大きい、という意味です。現在、煉瓦の製造原価のうち、重油が占める割合は約3割。そして今、中東情勢の影響により重油価格は想定の約2倍近い水準となり、大変厳しい状況が続いています。
レンガは「焼物」です。土を成形し、1000℃を超える高温でじっくり焼き上げることで、粒子同士が溶着し、まるでガラスのように硬く、長い年月を経ても色褪せにくい素材になります。百年後も街に残るレンガ。その価値は、「焼く」という工程によって生まれています。しかし今、その最も大切な“焼く”こと自体が難しくなっています。
私たちは、焼成とは単なる製造工程ではなく、レンガに命を宿す工程だと考えています。炎の流れ、窯の状態、積み方、温度の変化――。その全てがレンガの色や表情、そして品質を決めていきます。だからこそ、簡単に火を止めることはできません。一方で、燃料価格の高騰は経営を大きく圧迫しており、価格改定をお願いせざるを得ない状況にも直面しています。それでも私たちは、「良いレンガをつくる」という姿勢だけは変えたくありません。
130年以上続いてきた窯の火を絶やさず、これからも、街に残り続けるレンガを焼き続けていきたいと思います。





