OKADA BRICK 岡田煉瓦製造所

Column

コラム

「謹製」という言葉に込めて

受け継がれる、
 ものづくりの姿勢

2026.08.20

レンガに残る「アンコ模様」「ゲタ模様」

― 重ねて焼くから生まれる、還元焼成の表情 ―

レンガの表面に、丸みを帯びた赤い跡や、帯状の色の違いが見えることがあります。私たちはこうした模様を、「アンコ模様」「ゲタ模様」と呼んでいます。初めて見る方、とくに均一な仕上がりのタイルを見慣れている方からすると、

「ここだけ色が違うけれど、大丈夫?」

と気になるかもしれません。しかしこれは、汚れや後から付いた跡ではありません。レンガを重ねて焼く製造方法と、還元焼成によって生まれる独特の表情です。今回は、この模様がなぜできるのかをご紹介します。

レンガには「酸化焼成」と「還元焼成」がある

岡田煉瓦では、レンガの色や表情をつくるために、大きく分けて酸化焼成還元焼成という焼き方を使い分けています。還元焼成では、窯の中の酸素を少なくした状態で焼くことで、粘土に含まれる成分の反応が変わり、赤一色ではない、茶褐色や濃淡のある表情が生まれます。一つひとつ微妙に色が違う。それが、還元焼成したレンガの大きな魅力です。ところが、この焼き方にはもう一つ特徴があります。それが、重なっている部分には還元雰囲気の影響が届きにくいということです。

レンガは、重ねて窯に入れます

岡田煉瓦の窯では、通常、レンガを一つずつ離して並べて焼いているわけではありません。限られた窯の中に効率よく製品を入れ、きちんと焼成するために、レンガを縦方向に7段ほど積み重ねて台車に載せます。そして、その状態のまま窯の中を進み、焼かれていきます。レンガ同士が接している部分では、炎や窯の雰囲気への触れ方が周囲とは少し異なります。還元焼成をすると、還元雰囲気に触れている部分と、レンガ同士が重なって還元雰囲気が届きにくい部分で、焼き上がりの色に差が生まれます。その跡が、焼き上がったレンガに残ります。これが、私たちが「アンコ模様」「ゲタ模様」と呼んでいるものです。

「模様が付いてしまった」のではなく、「焼き方が残った」

この模様を見ると、

「色がうまく付かなかったのでは?」

と思われることもあります。しかし、少し見方を変えていただければと思います。これは、レンガが窯の中でどのように積まれ、どのように火を受けて焼かれたのか、その痕跡が残ったものです。均一な色を印刷した材料とは違い、レンガは粘土を成形し、高温の窯で焼いてつくります。炎の当たり方、酸素の量、窯の位置、そして隣のレンガとの重なり方。いろいろな条件によって、一つひとつ違う表情になります。アンコ模様やゲタ模様も、その一つです。厚みのある焼成レンガを、実際に重ねて焼いているからこそ生まれる柄だと考えています。

敷きレンガでは影響ありません

舗装としてレンガを敷く場合、表面として使用するのはレンガの大きな平面です。アンコ模様やゲタ模様は、重ね焼きによって側面などに現れる模様のため、通常の敷きレンガ施工では仕上がりに影響しません。一方で注意していただきたいのが、花壇や塀など、レンガを積んで使う場合です。積み方によっては、模様のある面が正面に現れることがあります。そのため、見せる面を確認しながら施工していただくことが大切です。

レンガタイルにも模様が出ます

岡田煉瓦のレンガタイルも、還元焼成をする場合にはアンコ模様が出ます。一般的なタイルとは製造方法が異なり、弊社ではレンガと同じ窯を使い、タイルも重ねて焼成します。そのため、重なった部分は還元雰囲気の影響を受けにくくなり、周囲との色の差が模様として残ります。見た目はタイルでも、つくり方はレンガに近い。この重ね焼きによる模様も、岡田煉瓦のレンガタイルの特徴の一つです。

知ると、見え方が少し変わる

アンコ模様やゲタ模様を、初めて商品だけで見れば、

「なぜ、ここだけ色が違うのだろう」

と思うのは当然だと思います。だからこそ、私たちはこの模様を隠すのではなく、なぜ生まれるのかをきちんとお伝えしたいと考えています。レンガを重ねて窯に入れる。還元焼成によって色幅をつくる。重なった場所だけ、周囲とは違った焼き上がりになる。そうした製造の背景を知っていただくと、一見不思議に見える模様にも、少し違った見方ができるのではないでしょうか。均一ではないからこそ、一つひとつに表情がある。アンコ模様やゲタ模様も、レンガが窯の中で過ごした時間の跡です。私たちは、そこにも焼き物としてのレンガの物語を感じています。

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