OKADA BRICK 岡田煉瓦製造所

Column

コラム

「謹製」という言葉に込めて

受け継がれる、
 ものづくりの姿勢

2026.08.29

レンガは、少しだけ色を変えて「効かせる」。

1:50でも景観は変わる。レンガの色のポイント使い

これまでのコラムでは、「レンガは、色を混ぜてもなぜか馴染む。」そして、「レンガは、あえて馴染ませない。」という、レンガの色の使い方をご紹介してきました。今回は、その続きです。レンガの色を組み合わせるとき、必ずしも2色、3色を同じような割合で混ぜる必要はありません。ほんの少しだけ違う色を入れて、「効かせる」。そんな使い方もあります。

色MIXは「1:1」「1:2」だけではない

2色のレンガを組み合わせようとすると、

「1:1にしようか」
「1:2くらいがいいか」
「1:3なら落ち着くだろうか」

といった割合を考えがちです。もちろん、それも色MIXの面白さです。しかし、広い面積にレンガを敷くのであれば、もっと極端な割合があってもいい。例えば、

1:50。

50個に1個くらい、違う色を入れてみる。ここまで少なくなると、「2色をMIXする」というより、ベースとなる色の中に、違う色をポイントとして「効かせる」という考え方になってきます。

赤茶の中に、アイボリーをぽつぽつと

今回ご紹介する施工事例では、広場全体に赤茶系のレンガが敷かれています。その中に、アイボリー系の明るいレンガがぽつぽつと入っています。正確な配合比率ではありませんが、写真から受ける印象としてはおよそ1:50程度

▲ 赤茶系のレンガをベースに、アイボリー系のレンガをポイント使いした施工例。色を均等にMIXするのではなく、少量の違う色を「効かせる」ことで、広い舗装にリズムが生まれています。

主役は、あくまで赤茶です。アイボリーを全体に馴染ませようとしているわけではありません。むしろ、

「ここだけ少し違う」

というアクセントとして使われています。前回ご紹介した「あえて馴染ませない」という考え方で色を選びながら、その色をほんの少しだけ使う。それだけで、広いレンガ舗装の表情が変わります。

1:50でも、景観は変わる

この施工事例の面白いところは、アクセント色の「少なさ」です。50個に1個程度であれば、面積としてはほんのわずかです。それでも、広い赤茶色の中に明るいアイボリーが現れると、自然と目に入ります。しかも、規則正しく一直線に並べるのではなく、ぽつぽつとリズムよく配置する。これによって、単調になりやすい大きなレンガ舗装に、小さな変化が生まれます。すべて赤茶色で仕上げれば、もっと落ち着いた印象になったでしょう。そこへアイボリーを少し加えることで、ポップで、どこか可愛らしい雰囲気が生まれています。色を増やさなくても、少しの色で景観は変えられる。これもレンガの面白い使い方です。

「何色使うか」より、「どこに置くか」

こうしたポイント使いでは、色の割合だけでなく、どこにアクセント色を置くかも重要になります。今回のようなランダムな配置は、図面上ですべてを決めるというより、施工する方の感覚や技術に委ねられる部分もあります。多すぎれば「MIX」に見える。少なすぎれば存在感がなくなる。そして、等間隔すぎても少し人工的に見える。ぽつぽつと、でも全体を見ればバランスよく。その絶妙な配置が、景観にリズムをつくっています。

円形のレンガ舗装に、少しの遊び心

今回の広場では、中心から外側へ向かって、レンガが円を描くように広がっています。直線的に整然と並べる舗装とは違い、もともと動きのあるデザインです。そこへアイボリーのレンガを点在させることで、さらに軽やかな印象が加わっています。こうした開けた広場では、きれいに仕上げるだけではなく、

「少し可愛らしくしたい」
「少し遊び心を加えたい」

という考え方も面白いと思います。そのために特別な材料を加えなくても、同じレンガの中で色を少し変えるだけで表現できます。

曲線をつくるために「半マス」も使う

もう一つ、この写真で注目していただきたいのが、レンガの大きさです。円形の舗装を通常サイズのレンガだけでつくろうとすると、曲線部分にどうしても大きな隙間ができやすくなります。そこで、今回のような施工では半マスのレンガも使われています。サイズを使い分けながら円を描くことで、できるだけ隙間をつくらず、レンガで面を構成していく。つまり、この景観は「色」だけでできているわけではありません。

色の割合。
色の配置。
レンガのサイズ。
敷きパターン。

それぞれの工夫が重なって、一つの景観になっています。


レンガの色は「選ぶ」だけではない

レンガを選ぶとき、

「赤にしよう」
「焼過にしよう」
「ベージュにしよう」

と、まず一つの色を選ぶことが多いと思います。でも、そこからもう一歩進めることができます。

何色を選ぶか。
何色と組み合わせるか。
どのくらい混ぜるか。
どこに配置するか。

同系色をMIXして、自然に馴染ませる。違う色を組み合わせて、あえて馴染ませない。そして今回のように、ほんの少しだけ違う色を「効かせる」。1:50という使い方も、立派な色のデザインです。

過去の施工事例は、新しいアイデアの種になる

レンガは、自由な発想でさまざまな景観をつくることができる建材です。ただ、新しいアイデアは何もないところから突然生まれるものではないと思っています。過去の施工事例を見て、

「こんな使い方があるんだ」

「50個に1個くらいでも面白いんだ」

「この敷き方を、自分の現場でも応用できないだろうか」

そんな小さな刺激が、新しいアイデアにつながります。私たち岡田煉瓦には、これまでレンガを使っていただいた数多くの施工事例があります。そこには、設計した方、施工した方、そしてレンガを選んでくださった方々の工夫があります。いわば、先人たちが残してくれたレンガの使い方の知恵です。私たちはレンガをつくるだけでなく、こうした施工事例や使い方も発信していきたいと考えています。

レンガをもっと身近に。
そして、もっと自由に使える建材へ。

過去のアイデアを次のアイデアにつなぎながら、日本のレンガの景観を、皆さんと一緒に広げていければと思います。

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