2026.08.28
レンガは洋風だけ?
モダンな日本建築にレンガを合わせる
「レンガは洋風の建物に使うもの」そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。赤レンガの洋館や倉庫、教会などを思い浮かべれば、確かにレンガと洋風建築の相性が良いことは間違いありません。でも、レンガは和風の建物にも面白いほどよく合います。今回ご紹介する建物も、その一例です。

▲ 木、植栽、石、レンガ。それぞれ異なる素材ですが、落ち着いた色調の中で自然に馴染んでいます。
日本のレンガは、明治から景観の中に入ってきた
日本でレンガが本格的に使われるようになったのは明治時代です。ヨーロッパなどと比べれば、日本のレンガの歴史は決して長くありません。しかし、面白いのはここからです。明治時代といえば「文明開化」。洋装、ガス灯、鉄道、そしてレンガ建築など、西洋からさまざまな文化や技術が日本に入ってきました。だからといって、それまでの日本文化がすべて西洋文化に置き換わったわけではありません。和の中に洋を取り入れ、日本なりに組み合わせていった。そこに、明治という時代ならではの景観の面白さがあったのではないでしょうか。レンガも、そんな時代に日本の景観へ入ってきた素材の一つです。
和風建築に合わせるなら、レンガの選び方も変わる
では、どんなレンガでも和風建築に合うのでしょうか。ここは少し考えたいところです。例えば、あまりにラフで色幅の大きなレンガよりも、形の整ったレンガを選ぶ。鮮やかな赤だけではなく、焼過などの深く落ち着いた色を使う。そして、敷き方にも少し工夫をする。レンガ舗装にはさまざまな敷きパターンがあります。直線や繰り返しを意識したパターンを選ぶことで、格子などの日本の伝統的な意匠にも通じる整然とした表情をつくることができます。レンガそのものだけではなく、色 × 質感 × 敷きパターンまで考える。そうすると、「洋風の材料」というイメージから少し離れたレンガの使い方が見えてきます。

▲ 深い色の木部と落ち着いたレンガ舗装。焼き物ならではの微妙な色幅が、木の表情とも自然につながります。
木とレンガは、実は相性がいい
今回の建物を見ていて特に面白いと思うのが、木とレンガの組み合わせです。木もレンガも、工業製品でありながら、一つひとつにわずかな表情の違いがあります。木には木目や節があり、レンガには土や焼成による色幅があります。完全に均一ではない。そのため、一緒に使ったときにも、どちらか一方だけが浮いて見えにくいのかもしれません。さらに、石や土、植栽を組み合わせれば、自然素材同士がつながった落ち着いた景観になります。
「和か洋か」ではなく、その間が面白い
現代の建築では、昔ながらの「純和風」「純洋風」という区分だけでは説明できない建物が増えています。木や石、レンガといった昔から使われてきた素材。ガラス、金属、コンクリートといった現代的な素材。それらを組み合わせて、新しい空間をつくる。考えてみれば、これは明治時代に日本が経験した「和と洋の融合」と、どこか似ています。古いものをそのまま再現するのではなく、伝統的な素材や考え方を残しながら、現代の建築に合わせていく。そんなハイブリッドな景観こそ、現代の「モダン」なのかもしれません。

▲ 木の架構を見せた現代的な室内。薪ストーブまわりにもレンガが使われ、木・ガラス・金属・レンガが一つの空間に共存しています。
日本らしい景観を考える時代へ
近年、日本の建築や文化に海外からも注目が集まっています。だからこそ、これからの店舗、宿泊施設、観光施設などでは、「日本らしさをどう表現するか」という視点もますます重要になっていくと思います。そのとき、昔ながらの和風建築をそのまま再現することだけが答えではありません。日本は昔から、外から入ってきたものを受け入れ、自分たちなりに組み合わせ、新しい文化や景観をつくってきました。そう考えると、レンガもまた、日本の景観の中で育ってきた素材の一つと考えてもよいのではないでしょうか。
レンガは洋風だけではありません
レンガを見ると、つい洋風建築を想像してしまいます。でも、
木と合わせる。
石と合わせる。
落ち着いた焼過を選ぶ。
敷きパターンを工夫する。
それだけで、レンガの表情は大きく変わります。洋風にも使える。和風にも使える。そして、そのどちらとも言い切れない現代的な建築にも使える。「レンガ=洋風」と決めてしまわず、建物や景観に合わせてレンガの色・質感・敷き方を考えてみる。そこから、今までとは少し違ったレンガの使い方が生まれるかもしれません。





