OKADA BRICK 岡田煉瓦製造所

Column

コラム

「謹製」という言葉に込めて

受け継がれる、
 ものづくりの姿勢

2026.09.29

レンガを、室内の床に。

― 「外」と「中」の間にある、土間のような空間 ―

レンガというと、どこで使うものを想像するでしょうか。

歩道、広場、庭、アプローチ。

岡田煉瓦でも舗装用レンガを多く製造しているため、私たち自身、レンガは「外で使うもの」という感覚をどこかで持っています。ところが最近、Pinterestなどで海外の建築事例を見ていると、室内の床にレンガやレンガタイルを使った空間を目にすることがあります。

キッチン、玄関、ダイニング、ガレージ。

日本では、それほど多く見かけない使い方です。なぜ海外では、レンガの質感を室内の床にも取り入れるのでしょうか。考えてみると、そこには生活様式の違いもありそうです。

レンガは、室内には向かない?

日本では、家に入ると靴を脱ぎます。一方、海外には靴を履いたまま室内で生活する文化もあります。レンガやレンガタイルの表面には凹凸があります。目地もあります。フローリングや一般的な床タイルのような、平滑で均一な床とは少し違います。裸足で歩く。床に直接座る。掃除のしやすさを重視する。そんな日本の一般的な居住空間を考えると、確かにレンガの床が向かない場所もあると思います。だから、

「レンガは外で使うもの」

というイメージが強くなったのかもしれません。でも、ここで少し考え方を変えてみます。

「家の中」ではなく、「外のような中」なら?

家の中すべてをレンガの床にする必要はありません。では、玄関や土間、ガレージ、店舗やショールームならどうでしょうか。靴を履いたまま使う場所です。

自動車ショールームの床に施工されたレンガタイル。室内でありながら、屋外のような素材感を持った空間になっています

今回の写真は、ガレージの床にレンガタイルを施工した事例です。屋根も壁もあるので、もちろん室内です。しかし、車が入り、人は靴のまま歩く。使い方としては、どこか屋外にも近い場所です。ここで面白いと思うのは、本物の舗装レンガをそのまま室内に敷くことではありません。屋外で見慣れたレンガの質感を、室内へ持ち込んでいることです。外でもない。普通の室内でもない。日本には昔から、これに近い空間があります。「土間」です。

「外・土間・中」の三つに分けてみる

建物を「外」と「中」の二つだけで考えず、三つに分けてみます。

OUTSIDE | DOMA | INSIDE
外   | 土間  | 中

外から建物に入った瞬間、すぐに完全な「室内」へ切り替えるのではなく、その間にもう一つの空間をつくる。そこは屋根の下だけれど、靴のまま歩ける。少し汚れてもいい。車や自転車を入れてもいい。植物を置いてもいい。そんな場所です。住宅なら、玄関、シューズクローク、趣味のスペース、ガレージ。店舗なら、入口から売場へ入るまでの空間。商業施設なら、屋内広場やイベントスペース。こうした「外のような中」に、レンガタイルは面白い素材になると思います。

ショッピングモールの中に「街」をつくる

大型のショッピングモールを歩いていると、ときどき面白い空間に出会います。子どもの遊具が置かれ、まるで公園のようになっている場所。植栽やベンチが置かれ、街路のようにつくられた場所。車が何台も展示され、ショールームのようになっている場所。室内なのに、室内らしくない。私は、こうした空間に魅力を感じます。だったら床も、一般的な内装材だけではなく、屋外を感じさせる素材を室内へ持ち込んでも面白いのではないでしょうか。レンガタイルを床に使うことで、建物の中に小さな「街」や「広場」のような場所をつくる。レンガの凹凸。目地。焼き物ならではの色幅。一般的な居室では使いにくいと感じる特徴も、こうした空間なら、むしろ雰囲気をつくる要素になります。

レンガでつくる「大人の土間」

もう一つ、レンガでつくってみたい空間があります。鉄骨や配管は、あえて隠さない。天井は黒やダークグレー。床には、明るい赤だけではなく、ブラウン系や黒系、還元焼成のレンガタイルを使う。そこに間接照明を入れる。光がレンガの凹凸に当たることで、焼き物ならではの微妙な色幅や陰影が浮かび上がる。そこに車やバイク。木や革の家具。そして植物を置く。きれいに整いすぎた室内ではなく、少しラフで、素材そのものが見える空間。鉄。木。ガラス。レンガ。そんな素材を組み合わせた、「大人の土間」。ガレージだけでなく、店舗やショールームにも似合うのではないでしょうか。

「内装材」という考え方に縛られない

レンガタイルは、壁に張る材料というイメージも強いと思います。でも、レンガの魅力は壁だけではありません。もともとレンガは、建物に積まれ、街路に敷かれ、長い間、人の生活と一緒に使われてきた素材です。その質感を床にも取り入れてみる。ここで大切なのは、

「レンガを室内で使えるか、使えないか」

という二択ではないように思います。レンガに合う空間を考えることです。普通のリビングにはフローリングがいい。水まわりにはタイルがいい。そして、外と中の間には、レンガがいい。そんな選択肢があっても面白いと思います。

レンガで、「外のような中」をつくる。

レンガを室内の床に使おうとすると、「掃除しにくいのでは?」「凹凸が気になるのでは?」「裸足では歩きにくいのでは?」そんな疑問が出てきます。それはもっともです。だから、家中をレンガにする必要はありません。

レンガに合う場所をつくればいい。

玄関。土間。ガレージ。店舗。ショールーム。屋内広場。外と中の間にあるような場所。そこなら、レンガの少しラフな質感も、目地も、焼き物ならではの色幅も生きてきます。レンガは「外で使うもの」と決めつけない。外と中の間に、もう一つの場所をつくってみる。そこに、レンガの質感を取り入れてみる。そう考えると、レンガでつくれる空間は、まだまだ広がるように思います。

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