OKADA BRICK 岡田煉瓦製造所

Column

コラム

「謹製」という言葉に込めて

受け継がれる、
 ものづくりの姿勢

2026.09.30

時代を越えて、レンガでつなぐ。

― 先代の仕事と、私たちの仕事が同じ場所に残る ―

レンガは、長く残る材料です。頭では分かっていたつもりですが、今回、下関市立大学を訪れて、その意味を改めて感じました。下関市立大学には、2011年に竣工したレンガタイルを使った建物があります。当時、私はまだ岡田煉瓦に入社する前でした。この仕事に携わったのは先代と、当時会社で働いていた職人たちです。それから時代が進み、私も会社に入り、世代交代しました。

定年を迎えた人もいます。
会社を離れた人もいます。

当時の仕事を知る人は、少しずつ少なくなっています。

そして2024年、もう一度、下関市立大学へ

2024年。

今度は別の業者様から、下関市立大学の舗装工事に使うレンガのお話をいただき、私たちの世代が携わることになりました。

2011年は建物の壁。
2024年は地面の舗装。

用途も違えば、仕事をした時代も違います。それでも同じ下関市立大学という場所に、再び岡田煉瓦の製品が使われることになりました。そして2026年、私は初めて現地を訪れることができました。

目の前には、先代たちの時代に携わったレンガの建物。そして、その足元には、今の私たちが携わったレンガ舗装があります。時代の違う二つの仕事が、一つの景色の中にありました。

まるで、時間が止まっているようでした

今回、特に印象に残ったものがあります。2011年に撮影された建物の写真と、2026年に私が撮影した現在の写真です。

同じアングルから撮影した2枚を並べてみると、不思議な感覚があります。まるで、時間が止まっているかのように見えます。もちろん、15年という年月が流れています。周囲の景色も変わり、そこで働く人も変わりました。岡田煉瓦も先代から私たちの世代へと移っています。それでも、建物を形づくるレンガの色や佇まいは、大きく変わったようには見えません。人も、会社も、時代も変わっていく。その中で、つくったものが変わらずそこに残っている。15年前の写真と現在の写真を並べたことで、「後世に残るものをつくる」という仕事の意味を、改めて感じました。

人はいなくなっても、仕事は残る

もう一つ感じたのは、この建物をつくった人たちのことです。私は2011年の仕事には携わっていません。当時、岡田煉瓦で働いていた人の中には、すでに定年退職した人もいます。一緒に働いた期間が短かった職人もいます。普段の仕事の中では、そうした人たちのことを思い出す機会も、少しずつ減っていきます。けれど、この建物を見ると、その人たちが確かにここに携わったことを感じることができます。

人はいなくなっても、仕事は残る。

ものづくりには、そんな一面があるのだと思います。

一緒に仕事をしていないのに、一緒につくったような感覚

そして今回、私が一番不思議に感じたのが、2011年の建物と2024年の舗装を同じ場所で見たときでした。先代たちが携わったレンガ。今の私たちが携わったレンガ。実際には、一緒に製造したことはありません。働いていた時代も違います。それなのに、一つの景色の中に二つの仕事があると、世代を越えて一緒に仕事をしたような感覚がありました。2011年の壁から、2024年の舗装へ。レンガが、その間をつないでくれているようにも感じます。

私たちの仕事も、次の世代へ

岡田煉瓦製造所は、世代をつなぎながらレンガをつくってきました。会社が長く続けば、働く人は変わっていきます。私たちも、いつまでもここでレンガをつくり続けるわけではありません。けれど、私たちがつくったものは、私たちよりも長く残るかもしれません。今回、下関市立大学を訪れて、それを実感しました。先代たちの仕事が残る場所に、今度は私たちの仕事が加わった。そしていつか、今の私たちのことを知らない世代が、このレンガの上を歩く日が来るかもしれません。だからこそ、今つくっているものを、その場限りの「製品」としてではなく、次の時代へ残していく仕事として考えていきたいと思います。

時代が変わっても。
世代が変わっても。

その場所に残り、次の人へつながっていく。私たちも、後世に残る仕事をつくり、次の世代へ「つなぐ」。下関市立大学のレンガを見ながら、そんなことを考えました。

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