OKADA BRICK 岡田煉瓦製造所

Column

コラム

「謹製」という言葉に込めて

受け継がれる、
 ものづくりの姿勢

2026.08.21

次代につなぐ

明治時代につくられたレンガ建築が、100年以上の時を経た今も残り、多くの人に愛されています。レンガは、とても長く使うことのできる建材です。私たちが今日つくったレンガも、私たちがいなくなったずっと先の時代まで、街のどこかに残っているかもしれません。だから私たちは、レンガをつくるとき、完成した瞬間だけを考えるのではなく、「後世に残したくなる景観をつくること」を大切にしたいと考えています。では、なぜ私がこれほど「次代につなぐ」ということを意識するようになったのか。その原点を考えてみると、私自身が岡田家の娘婿であり、6代目として会社を継いだことにあるように思います。

跡取りがいなかった岡田煉瓦

岡田煉瓦製造所は1897年、明治30年に創業しました。私が会社を継ぐ前、岡田家は三姉妹で、会社を継ぐ跡取りはいませんでした。すでに100年以上続いていたレンガ工場です。国内のレンガメーカーも少なくなっていく中で、「ここで終わらせてしまうのは、もったいない」という思いが家族の中にもあったのだと思います。そして、娘婿である私が会社を継ぎ、6代目の代表となりました。振り返ってみると、この頃から私の中に「つなぐ」という意識が強くなっていったように思います。

「継ぐ」だけではなく「つなぐ」

会社を継ぐ。技術を継ぐ。もちろん、それも大切です。でも最近は、「つなぐ」という言葉には、もっといろいろな意味があるのではないかと考えるようになりました。これまで受け継がれてきたレンガづくりを、次の世代へつなぐ。レンガの魅力や使い方を、設計者や施工会社、販売会社の皆さまへ伝えていく。メーカーと商社をつなぐ。つくる人と使う人をつなぐ。そして、一つひとつの出会いや仕事を通じて、人と人をつないでいく。それも、私たちの役割なのかもしれません。

レンガもまた、時代をつないでいる

考えてみれば、レンガそのものも「時代をつなぐ」建材です。明治時代につくられたレンガ建築を、私たちは今も見ることができます。そこに使われている一つひとつのレンガは、当時の職人がつくり、誰かが運び、誰かが積んだものです。その仕事が100年以上残り、今の私たちがその景観を見ることができる。そう考えると、ものづくりの仕事は、自分たちの時代だけで完結するものではないのだと思います。

私たちの時代に、何を残すか

私たちは、先代までが守ってきた岡田煉瓦を受け継ぎました。しかし、受け継いだものをそのまま守るだけでは、次の時代へつなぐことはできません。時代に合わせて変えること。新しいことにも挑戦すること。そして、レンガの価値を自分たちの言葉で伝えていくこと。それも「つなぐ」ために必要なことだと考えています。私たちがつくったレンガが街に使われ、その場所が10年、50年、100年と愛されていく。そしていつか、「この景観は、これからも残していきたい」と思ってもらえる。そんな仕事を一つでも多く残していきたいと思います。受け継いだものを、次へ渡す。人と人をつなぐ。そして、今の時代から未来へ、景観をつないでいく。それが、6代目として私が考える、「次代につなぐ」ということです。

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