OKADA BRICK 岡田煉瓦製造所

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コラム

「謹製」という言葉に込めて

受け継がれる、
 ものづくりの姿勢

2026.11.03

知っていそうで知らない煉瓦の話。

― あなたが思い浮かべるレンガの花壇は「半枚積み」です ―

レンガの花壇と聞くと、どんなものを思い浮かべますか?赤いレンガが何段か積まれていて、中には色とりどりの花が植えられている。庭先や公園などで、よく見かける風景だと思います。実は、こうしたレンガの花壇にも、きちんとした積み方の名前があります。それが「半枚積み(はんまいづみ)」です。今回は、知っていそうで意外と知らない、レンガの積み方についてご紹介します。

写真:身近なレンガの花壇。こうした壁は半枚積みでつくられることがあります。

レンガには「長手」と「小口」があります

まずは、レンガの基本から。日本で一般的に使用される普通レンガの寸法は、210×100×60mmです。レンガの長い面(210mm側)を「長手(ながて)」、短い面(100mm側)を「小口(こぐち)」と呼びます。レンガは、この長手と小口をどのように組み合わせるかによって、さまざまな積み方が生まれます。そして、積み方によって見た目だけでなく、壁の厚みも変わってきます。

半枚積みと一枚積みの違い

レンガの壁には、大きく分けて「半枚積み」と「一枚積み」があります。半枚積みとは?半枚積みは、レンガの長手を壁の表面に見せながら積んでいく方法です。壁の厚みは、レンガの幅と同じ約100mmになります。比較的薄い壁になるため、身近なレンガの花壇などで見かける積み方です。

一枚積みとは?

一枚積みは、レンガの長さに相当する約210mmの厚みを持つ壁です。半枚積みと比べて壁が厚く、レンガの長手と小口を組み合わせながら積む方法が用いられます。昔のレンガ建築では、こうした厚みのある壁が建物を支えていました。

図:普通レンガ210×100×60mmを使用した場合、半枚積みは壁厚約100mm、一枚積みは約210mmとなります。

積み方によって、高さの目安も違います

普通レンガ(210×100×60mm)を使用した場合、施工上の目安は次のとおりです。

  • 半枚積み(壁厚約100mm):高さ56cm以下(8段積み)
  • 一枚積み(壁厚約210mm):高さ1.2m以下を推奨

ただし、実際の施工では、基礎や補強、設置条件などを考慮する必要があります。特に花壇では、土圧や排水にも注意が必要です。

フランス積みとイギリス積み

一枚積みの代表的な積み方として、**「フランス積み」と「イギリス積み」**があります。

フランス積み

フランス積みは、同じ段の中で長手と小口を交互に並べる積み方です。レンガの長い面と短い面が規則的に繰り返され、変化のある美しい模様が生まれます。日本では、明治時代のレンガ建築などに見られます。

イギリス積み

イギリス積みは、長手だけを並べた段と、小口だけを並べた段を交互に重ねる積み方です。横方向に整った模様が生まれ、落ち着いた印象になります。こちらも日本の歴史的なレンガ建築で広く使われてきました。

図:フランス積みは同じ段に長手と小口を交互に配置し、イギリス積みは長手の段と小口の段を交互に重ねます。

どちらも、単に模様をつくるためだけのものではありません。

レンガを壁の厚み方向にも組み合わせ、一体の壁として積み上げていくための工夫でもあります。

昔のレンガ建築には、積み方の美しさがあります

愛知県半田市の「半田赤レンガ建物」や、京都府舞鶴市の「舞鶴赤れんが倉庫」。こうした歴史的なレンガ建築をよく見ると、長手と小口が組み合わされていることに気づきます。レンガの積み方は、建物を支えるための技術であると同時に、外観を特徴づける意匠でもありました。一つひとつのレンガは同じような形をしていますが、並べ方が変わるだけで、建物の表情は大きく変わります。

写真:歴史的なレンガ建築。長手と小口の組み合わせによって、独特の表情が生まれています。

レンガタイルにも、積み方の表情を

現在の建築では、レンガを積んで壁をつくるだけでなく、薄くスライスした**「レンガタイル」**を壁に張る方法も一般的です。レンガタイルは、建物の構造を支えるものではなく、主に外観を仕上げるために使われます。そのため、昔の組積造と同じように長手と小口を組み合わせる必要はありません。しかし、私たちは、ここにレンガならではの面白さがあると思っています。長手のタイルだけを並べる方法もありますが、小口のタイルを組み合わせれば、フランス積みやイギリス積みを思わせる表情をつくることもできます。もちろん、タイルはあくまでタイルです。昔のレンガ建築のように、レンガそのものが建物を支えているわけではありません。それでも、レンガが積み重ねられてきた歴史や、その美しさを現代の建築に取り入れることはできると思います。レンガタイルを選ぶときには、色や質感だけでなく、ぜひ「積み方」にも目を向けていただきたいです。

レンガは、積み方によって表情が変わる

身近なレンガの花壇に使われる半枚積み。厚みのある壁をつくる一枚積み。そして、フランス積みやイギリス積み。どれも、レンガという同じ材料から生まれた積み方です。普段は何気なく見ているレンガの壁も、長手と小口の並び方に注目すると、少し違って見えるかもしれません。レンガは、ただ並べるだけの材料ではありません。

一つひとつを、どのように積み上げるか。

そこにも、レンガの面白さがあります。株式会社岡田煉瓦製造所は、これからもレンガの製造だけでなく、その使い方や魅力についても発信していきたいと思います。

想いをカタチにして積み上げる。

それが、私たちの仕事です。

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